2010年10月21日

本は、フリーなメディアである。

 最近、すっかりウチダ先生かぶれの私であります。
 問題を自分で考えるのは難しい。ウチダ先生は私にいつも興味深い問題を与えてくださる方なのであります。

 で。
 今朝、いつものように朝のUSTREAM配信をしていて(毎朝8時半からhttp://www.ustream.tv/channel/hyoron-broadcastでやっています)、ふと思いついたのが、

 「本って、フリーなメディアだったのではないか」

 ということです。

 なぜそう思ったのかというとですな。
 今朝は元々「本屋はフリーなメディアだった」というテーマでオハナシしていたのですよ。
 だってそうですよね、本屋をメディアとして考えれば、入場料をとられるわけでなし、タダで好きなだけ本が読めるんですから、フリー(無料)といえば言える。いえ、フリーなのですよ。

 でさ。
 そこまで話してはっとしたわけです。「本屋だけでなく、本も、フリーなメディアなのではないか」とね。

 うん。そうだよ。
 だって、本って、タダで読めるところ、いっぱいあるじゃん。図書館とか本屋とか。
 フリーと呼べるメディアには、「ここまでは無料、ここからは有料」というもの、いっぱいあるよね。
 だから、「図書館や本屋で読むのはお試しの無料版。おうちで好きなだけ、いつでも読みたいときに読みたいときは、有料版を買ってください」という「本」というメディアは、ある意味フリーなのではないだろうか、と思ったわけです。

 なるほどな〜。
 自分で思いついて自分で感心していたら世話はないわけですが、だって本当にそうなんだもん。
 考えてみれば、「テレビ」もフリーなメディアなわけです。「有料版」がなかったので今まで気がつかなかったけど(今ではあるけどね)。

 で、で。
 そう考えると、「なーんで今までは本書いて並べるだけでちゃんと売れたのに、今ではブログやらイベントやらで販促活動をせっせとやらないと売れなくなったんだ?」というのも合点がいきます。

 だって、これまで「無料版」を読ませてくれていた書店が、メディアとしての機能不全におちいっているんだもの(マンガの場合は、自ら機能不全にしたわけだけどね)。
 本屋に人がいない。だから本屋はメディアとして現在ほとんど機能していないわけです(なぜ、本屋に人が来なくなったかは、別の機会にお話しします)。
 買う、買わないは別にしてとにかくお客さんがいないんですよ。

 そうなると、「無料版」を誰も読んでくれないということだから、「これまでと同じような売り上げを維持するには、どこかで『無料版』を読んでいただかねばならない」ということになって、だから我々著者は、「無料版」としてブログを書いたり販促活動を熱心にやらなくてはいけなくなった、というわけですね。

 「モノを売る」「本を読んでもらう」ということをすごく軽く考える人、そして何でもかんでもお金で物事がはかれると思っている人は、「安くすれば、買ってくれるだろう」「タダにすれば、読むだろう」と思っているけれど、それって大間違いですよ。

 はっきり言います。
 「タダでもいらないもの」というのは、世の中にいっぱいあるんです。
 モノ作りをしている人にとってはショックな言葉でしょう。あのしつこい新聞勧誘だって「タダでもいらないんです」と言えば、すぐにおひきとり願えますからね。
 でもそれは、事実なんです。

 逆に「いくら払ってもいいから読みたいもの」というのも存在します。
 結局は、コンテンツ次第。
 いいコンテンツを作れる人、持っている人が生き残れる、という、非常に単純な結論になるわけです。

 というわけで、がんばれ。オレ、そしてみんな!
 考えようによっては、すごくいい時代が来たのかもしれない、とも思えます。
 「いいコンテンツを作ることが求められる」なんて、素晴らしい、と思いませんか。
 誰もがみんな、同じ土俵で勝負できるようになったんです。
 みんな、がんばろうぜ〜。

追伸 で、冒頭のウチダ先生の話がどう関係しているかというと……『街場のメディア論 』を読んでください! 乱暴ですまぬが。


★今朝(2010/10/21朝)放送の「本屋はフリーだった」です。もしかしてところどころ音声や画面が途切れたりしているかもしれません。すみません。


フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

  • 作者: クリス・アンダーソン
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2009/11/21
  • メディア: ハードカバー




↑読まなきゃ読まなきゃと思っていながら、まだ読んでいません。とほほ。


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2010年10月11日

イトーヨーカドー恋ヶ窪店閉店に思う

 近所のイトーヨーカドー恋ヶ窪店が10月末日で閉店することになりました。
 そんで、今日、母と娘と私親子三代で名残を惜しみに行ってきたわけですが。

 馴染みの「ポッポ」(イトーヨーカドー恋ヶ窪店の中にある軽食堂)で、みそバターコーンラーメンなどを食しながら、「人、入ってなかったもんね……」などと思い出話をしたり。

 そう。
 人がガラガラなお店ってねえ、潰れんのよ、必ず!
 私バーバラは、大学時代からずっと、空いていて美味しいお店を好むのですが、そういうお店って、絶対、ぜ〜ったい!潰れる。

 で。
 最近の本屋のガラガラっぷりは、異常よ、ホント。

 もうけるもうけない以前に、人が集まっていないところにはお金が落ちないというのは当然のこと。
 ブックオフすら最近レジには人がいないもんなあ。

 「最近のテレビは、スナッフ・フィルムを観ているようだ」とおっしゃったのはウチダ先生ですが、私は最近、「書店のスナッフ・フィルム」を観ている気分ですよ。

 なんで、書店はもっとじたばたしないんだろうか?
 じーっと、自分が死ぬのをなすすべなく見ているんだろうか?
 それが全然わかんない。

 もちろん、いろいろな試みをしている書店さんはいっぱいある。
 そういうところは残り、そうでないところは消えるんだろう。そして、そうでないところがほとんどだ。
 本屋だけでなく、すべての商売は同じだよね。
 けっこう、がんばればなんとかなることって、多いはずだよ。

 愚痴を言う前にまず行動!
 いまはタダでできることがいっぱいあるんだから。


★10月5日配信の「UST部 編成のおもしろさ」です。USTREAMのおもしろさはなんといっても「編成」のおもしろさ! 編成のおもしろさがわかる書籍『テレビはなぜ、つまらなくなったのか』も紹介しています。熱が出ていたので、でこに冷えピタを貼って配信しました(笑)。


テレビはなぜ、つまらなくなったのか―スターで綴るメディア興亡史

テレビはなぜ、つまらなくなったのか―スターで綴るメディア興亡史

  • 作者: 金田 信一郎
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 単行本





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2010年10月09日

続・「ロッキー」はすごい

ロッキー ブルーレイ・コレクターズBOX [Blu-ray]

 ただいま昼寝から目覚めました。

 で、「ロッキー」ですよ。

 いわゆるあれって、ヒーローものですよね。
 で、ヒーローものって、主人公の身にいろいろな出来事があっても、最終的にはヒーローが勝つ、というストーリーが圧倒的に多い。
 だから、ストーリーの中で、ヒーローが苦境に立っても、「でも、最後にはヒーローが勝つんだろ?(薄笑)」という、なんだかもー、「セックスに慣れまくったヤリマン」みたいなスレた心境になるわけです(ま、そこをうまくハラハラドキドキさせるのは、演出の力というヤツで)。

 だけど、「ロッキー」は違います。
 たぶん、初めてロッキーを観た人は、ココロのどこかで、「でも、どーせ、最後にはロッキーが勝つんでしょ?」と思っていたはずです。「勝つことによってヒーローが誕生する、というストーリーをこの映画も選択しているはずだ」と。

 しかし、ロッキーは勝ちませんでした。
 私はボクシングに詳しくないので、「判定負け」というものがどのような評価を受けるのかわかりませんが、とにかく勝たなかった。

 ロッキーは、試合には負けたのです。
 けれど、ヒーローになったのは意外にも、「負けた」ロッキーのほうでした。

 無名なチンピラ・プロボクサーだったロッキーは、チャンピオンの挑戦を受け、「チャンピオンに負けなかったこと」で観客を熱狂させます。
 ヒーローとなったロッキーにむらがるインタビューア。だけど、ロッキーは「名誉には興味がない」といわんばかりに、恋人の名前を呼び続けます。あとはご存じのような感動のエンディングになるわけですが。

 やはり、ここで特筆されるべきは、「演出の力」ですよね。
 小説や映画などが酷評されるときに持ち出される言葉は「ご都合主義」ですが、私は「人が作ったストーリーは、すべてご都合主義である」と思っています。
 だから、ご都合主義であること自体はちっとも悪くない。むしろ当然。
 問題は、「ご都合主義であると観客(あるいは読者など)に思わせてしまう演出のまずさ」です。

 結論や話の流れは創作者の好きでかまわない。たとえ、それがどんなにとっぴなものであっても。
 ロッキーのラストだって、やろうと思えばものすごくつまらないものにできたわけです。
 それを、あの素晴らしいエンディングに持って行けたのは、「演出の力」です。

 演出、とひとくちに言っても、俳優の演技だけでなく、カメラワーク、脚本、音楽など、いろいろな要素があるでしょう。私は映画制作に詳しくありませんが、1つだけ良くてもうまくいかないだろう、ということは想像できます(たとえば、ラストシーンの音楽。あれの出来の良さがラストシーンの感動をより深めていることは異論がないでしょう)。

 で。
 ヒーローの話ですよ。

 スタローンは「ロッキー」の脚本を書いているときには、おそらく続編は意識していなかったでしょう。なにしろ当時の彼は無名の俳優で、オーディションにも落ちまくっていたのですから。
 だけど、「ラストで主人公が負ける」(しかしそれでもヒーローになる)というのは、次回作以降でものすごく生きてくることになります。

 というのも、「『ロッキー』シリーズでは、最後に主人公ロッキーが勝つか負けるかは本当にわからない。単なる『ご都合主義』で、ロッキーを勝たせるとは限らない」という、大いなる謎(と言っていいのかはわかりませんが)を観客に与えることになったからです。

 「ロッキー」シリーズでは、主人公ロッキーが勝つとは限らない−−。

 これはもう、「ロッキー」シリーズを観るとき、クライマックスでの試合シーンは正座して観ざるをえませんわな。
 だって、ロッキーは勝つか負けるか、わからないんだもん。

 「勝つか負けるかわからない」ということにおいては、もはや「ロッキー」シリーズの試合シーンは「リアルのボクシング試合」と変わらないわけです。
 観客(あなた、であり、私)は、「ロッキーは負けるかもしれない、ロッキーを応援しなくちゃ!」という気持ちにさせられる。
 もうこの時点で、「ご都合主義」の術中にはまっていることになります。

 もちろん、観客を「ロッキーを応援しなくちゃ!」という雰囲気に持っていくためには「演出の力」が不可欠ですが、「ロッキーシリーズでは、主人公ロッキーが負ける可能性がある」という前提条件が、観客をより熱狂させる大きな要因になっていることは間違いありません。

 すごいなあ、ロッキーは。

 感動のラストシーンを観ながら(何度観ても泣けます)、頭ではそんなことを考えている私なのでした。


 追伸 主人公ロッキーが負けるにもかかわらず、ヒーローになるというストーリーに元ネタがあるのは知っていますが、そんなのは、まあ、些末なことです。大事なのはそれを「チョイスした」スタローンのセンスですから。


★10月5日配信の「出版評論 書籍という課金システム」です。いろんな意味で見どころ満載の動画! このテーマについてはまた日を改めてお話ししたいと思っています。


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2010年09月29日

ドライブする文体と、そうでない文体がある。

 引き続きウチダ先生のブログを読む1日。

 朝から感動したフレーズ。

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ドライブする文体と、そうでない文体がある。

(内田樹の研究室 2010.06.04 http://blog.tatsuru.com/2010/06/

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 まさしくそのとおりです〜、ウチダ先生。

 このフレーズは、たぶん、今年聞いた言葉の中で、ナンバーワンの名台詞になるでしょう。


★昨日配信した「海軍チキンサラダのつくりかた」


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2010年09月28日

古い本だって書評していいじゃないか!

 引き続き、ウチダ先生のブログのバックナンバーを読んでいます。

 そしてまたまた気になる記述が。

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それにどうしても納得がゆかないのは、書評というものが原則として新刊についてしかなされないことである。
書評の連載をしている某誌では発行日まで指定されていて、それより以前に出た本は書評することができない。
なぜか?
私にはその理由がわからない。
かつて存在したすべての書籍は、そのつど書評の対象となってよろしいのではないか。

(内田樹の研究室 2009.07.28 http://blog.tatsuru.com/2009/07/

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 まったく同感であります。

 物書きとしては恥ずべきことなのかもしれませんが、私の本棚は恐ろしく小さいのです。
 100冊の本を1回読むよりも、1冊の本を100回読みたい人なので、これでもまだ読み切れないくらいなのです。
 本を買って読んで、「これは100回読まないな」と思ったら即ブックオフ行き。
 「いつかまた読むかも」というレベルの本まで取っておいたら大変なことになってしまいます。

 本棚はコンパクトに。
 取り扱いできる情報の量しか取り扱わない。
 これが私の基本スタンスです。
 経験から断言できますが、背伸びするとロクなことになりません。
 というか、ただでさえロクでもないことばかりしている私なのに、これ以上情報が増えたらとっちらかってどうなるかわかったものじゃありません。

 というわけで、私の本棚は小さいです。
 そんでもって、皆さんにも私の本棚の本をご紹介したいのですよ。
 だけど、「100回読んでもおもしろい新刊」というものはやはりなかなか少ないもので。

 そんなわけで、今後も、私が紹介する本は、古い本ばかりになると思います。
 いーじゃん、単なる情報とは違うんだから。古くったって。

 「死後30年たった作家のものしか手に取らない」と言ったキャラクターが出てきたのは、村上春樹さんの『ノルウェイの森』だったっけ?
 いーじゃん、それでさ。

 ウチダ先生の『坂の上の雲』の書評、読みたいなあ。

 もちろん、私にとっても『坂の上の雲』は「100回読んだ本」です。
 好きすぎて、ダブって買った巻がたくさんありますですよ。いやね、部屋の中やバッグの中でよく行方不明になるもんで。

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/01
  • メディア: 文庫





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著作権とパチンコ屋の釘

 ウチダ先生のブログのバックナンバーを読んでいて気になるところがあった。

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原理的に言えば、「無償で読む読者」が増えれば増えるほど、「有償で読む読者」予備軍は増えるだろう。
だから、ネット上で無償で読める読者が一気に増えることがどうして「著作権者の不利」にみなされるのか、私にはその理路が見えないのである。

(内田樹の研究室 2009年1月7日 http://blog.tatsuru.com/2009/01/

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 ふむ。

 えとー。
 私なりに考えてみました。

 それは、「出版業界が、斜陽産業である」ということにも、原因の一端があると思います。

 私は、出版業界の「あらゆる意味でのルーズっぷり」にかなり腹を立てている反面、「あらゆる意味でルーズ」なところが、出版業界のパワーの源でもあり、魅力でもあると思っています。

 だから、『ノストラダムスの大予言』みたいな、「冷静に考えれば明らかにウソでしょうでもおもしろいからいいや」という、世界の終末すらオモチャにしてしまうような本が出版されて大ベストセラーになっちゃうわけで。
 ぜーんぶの本がNHK出版から出ましたみたいな、ごりんごりんの堅い本になったら、出版業界なんておもしろくもなんともない。
 ホントかウソかわからん怪しい本があるから、おもしろいんである。
 (だから、「カラサワの本はウソだらけ」とお怒りの方々には、「あなたがたはそもそもカラサワさんの本が全部ホントだと信じていたのですか!」と驚いてしまうのです)

 ウソはいけないジャンルの本(辞書とか法令集とか)はあるけれど、怪しい本だってあるほうがおもしろいじゃないですか。ネット記事や2ちゃんねるのおもしろさはそこにあるんだし(もちろん、ネット記事や2ちゃんねるが「全部ウソ」だと言っているのではありません。それはそれでおもしろくないよね)
 生物の多様性みたいなもんで、いろ〜んな本があるから、出版業界はおもしろいんである。
 (話がそれるけど、今、書籍の生態系がすげーいびつになってる。これは良くないと思う)

 で。
 なんの話だったっけ?
 あ、そうそう、著作権の話でしたね。

 著作権が最近やかましく言われるようになったのは、権利意識の高まりとかそーゆーのもあると思うけれど、出版業界が貧乏になってきたというのも大いに関係していると思います。

 私は著作権に関するウチダ先生の意見には基本的に賛成しています。
 だって、フツー考えて、「お客さんがいっぱいいるところには自然とお金が集まる」もんね。
 課金システムばっかりしっかりしていてもお金なんか集まらない。

 だけど、不思議というかなんというか、いかなる業種でも、貧乏になってくると、「人を集める」ことよりも、「ひとりも漏らさない課金システムを考える」ほうに傾くよね。

 たとえばパチンコ。
 客足が悪くなったら、釘を開けて玉を出してお客さんを集めた方がいいに決まっています。
 しかし、だいたいのパチンコ屋は客足が悪くなると、お客さんからお金をもっともらおうとして(客単価を上げようとして)、釘を締めて出ないようにする。

 これは単なる私の印象ですが、以前某パチンコ雑誌の編集者さんに聞いたところ、同じ意見が返ってきました。
 釘をひらいていっぱい出るようにするパチンコ屋さんはますます儲かり、しめるパチンコ屋さんはますますお客さんがいなくなる。


 そういうわけで、出版業界が斜陽だからこそ、いろんなところでタダで読めるようにして、「ほーら、こんなにおもしろい本が出版業界にはあるんだぞう」と広報したほうがいいと思います。
 だけど、今、ますます出版業界は「1人も課金漏れがないように」という方向に進んでいる。

 うーむ。
 こりゃ、出版社が電子出版に本格参入するのはますます遅くなりそうだね〜。
 何回も「1人も課金漏れがないように」ということで過去に失敗しているのに。

 それにひきかえ、個人の皆さんは「どんどん読んで〜」と無料の電子出版を出している。
 こりゃあ、読者数としては勝てませんわな。

 
 で。
 じゃー、どうやって私たちがこの出版不況を生き残っていけばいいのかと言うと〜(ウチダ先生には『街場のメディア論
』で「生き延びられるものは生き延びよ」と言われちゃったしさ)。

 それは1つしかないよね。
 「プロでしか作れない、ものすごくおもしろいコンテンツをつくる」

 あたりまえじゃんと言われたらそうなんだけれどさ。

 で、で。次が問題。
 「どーやって、この本が『ものすごくおもしろいコンテンツですよ』と大勢の人に教えるのか」というとですね。
 
 やっぱり、無料で一部あるいは全部を公開しちゃうというのが手っ取り早いですよね。
 ネット時代だから、お金もかからないしさ。

 「お金をもらうために、無料で公開する」というのは一見矛盾に思えるけれど、「人が集まるところにはお金も集まる」というのはわかるよね?

 とにかくおもしろいコンテンツをつくって、ギャラリーを集めること。
 本来メディアっていうものは、そういうものだったんじゃないかな、と思います。


★昨日配信した「めし部 海軍けんちん汁のつくりかた」です。
 ごま油の香りがたまりません〜。激うまです。


自分でつくるうまい!海軍めし―簡単!早い!おいしい!

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  • 作者: 海軍めし愛好会
  • 出版社/メーカー: 経済界
  • 発売日: 2010/08
  • メディア: 単行本





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