2010年10月16日

「裏切られた」などとせこいことを言うな。

 タイトルはウチダ先生のブログ「内田樹の研究室」2007年1月30日の記述からの「いただき」である。
 http://blog.tatsuru.com/2007/01/

 ああまったく、ウチダ先生というのは、どうしてこうも私のいいたいことをズバリと言ってくれるのでありましょうか。
 そう考えている人が大変多いからこそ、氏のファンが多いのでしょうけれども。

 全文を読みたい方は上のリンクをクリックしてくれたまい。
 私が感激したのは以下のくだりである。

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私がメディアに期待するのは次のような言葉である。
「テレビがこんなふうに構造的に腐敗していることを私は熟知していたが、それをあえて咎めなかった。なぜなら、テレビのようなメディアはどれほど腐っていても、ないよりましだからだ。『正しい報道・中立的な報道以外のものはなされてはならない』というルールが適用されたら、メディアは死ぬ。だから、視聴者は90%のジャンクの中に10%の貴重な情報が含まれている程度の含有率に耐えてテレビを見るべきなのだ。『裏切られた』などというせこいことを言うな。黙ってテレビの嘘を凝視して、その行間からしみ出るわずかな真実を読み出せ。」

「内田樹の研究室」2007年1月30日より

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 うんうん。
 特に最後の二行は激しく同意。

 とにかく私、最近の「いいことをしなければならない」「とにかく人は善人でなければならん」という風潮にヘドが出そうなのであるよ。
 というか、そんな社会は気持ち悪いを通り越して、恐ろしい。怖い。

 だって、「心からの善意を持った善人」ほど、空恐ろしいものはないんだぜ。

 ううむ。
 ここで、「善」とは何か、って説明しようとしたんだけれど、うまく言えないな。
 箇条書きにしてみましょ。

・「善は正義である」と人は思いたがる。
・「善意から出た行動をする人」は、「その行動が相手から拒絶される」と、「相手を悪と見なす」ことが非常に多い。
・善の基準は、人、あるいは属する集団などによってそれぞれ異なる。

 まー(面倒くさくなったので)ぶっちゃけ言うと、「善意の人」って、対象との距離がうまくとれてない人が多いのよ。
 「これは絶対にいいことに違いない!」と思うことが多くて、「本当にそうかな? これはいいことなのかな」と思うことがない。

 悪人は違うよ。
 「悪いことをしよう」と思っている人は、「それ」が悪いことだとわかっているぶん、対象と距離が取れている。だから、「それ」を客観的に見ることができているし、なぜ悪いかもちゃんと認識できている(と、思う)。

 「いいこと」ってね、「わるいこと」より堂々と言えるぶん、思い込みやすいし、押しつけやすい。

 だけど、もし、その「いいこと」が、相手にとって、あるいは他の人たちにとって、悪いことだったらどうするのさ。
 本当にその「いいこと」って、いいことなの?

 ……。
 で。
 ここで難しいのは、世の中って、大きなことから小さなことまで、矛盾で満ちている、ということなんだよね。
 世界は数学のように整然としていないんだよ。
 つか、長所の裏は短所、というのは世の中では当然でして。
 
 そんなときに、私たちがとらなくてはいけない行動はですな、「ま、ここはひとつ」的な、譲るところは譲る、押すとこは押す、というスライダ的対応だと思われ。
 スイッチ的な「これはいい! これは悪い!」というのは、カッコいいけれど、世の中ではけっこう害になることが多い(評論家は、それが商売ですから、許してあげましょう。「ま、ここはひとつ」寛大なココロを持って)。


 さて話は戻ります。
 先ほどのブログの記事で、ウチダ先生はこうもおっしゃっています。

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「知りませんでした」「聞いていない」「情報が現場からから上がってこない」「訴状をまだ読んでいない」「調査委の答申を待って」・・・この間に見聞きしたすべての不祥事で、すべての組織の管理者たちは、「自分は組織を管理できておらず、組織内で何が起きているかを知らなかった」とみずからの無能を告白することで責任を逃れようとしている。
私たちの社会はこの種の遁辞に対してかなり寛容である。
だから、人々は争って「自分は無知で、無能で、だから無罪です」という言い訳にすがりつく。

「内田樹の研究室」2007年1月30日より

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 これって、やっぱりずるいよね。 
 ……だけど、考えようによっては、「メディア(この場合は、テレビ)は、自分でそのツケを払うんだから、いいのか」とも思える。

 だってもう、テレビを100%信用している人なんて、いない(もしくは少ない)と思うし。

 いーじゃん、もう。
 テレビはウソってことで。
 「『裏切られた』などというせこいことを言うな。黙ってテレビの嘘を凝視して、その行間からしみ出るわずかな真実を読み出せ。」

 たぶんそのほうが私たちにとって、テレビはきっとエキサイティングなメディアになると思うよ。
 そもそも、「ウソ」情報で困るのは、メディアの人(私、含む)だけなんだし(自業自得)。
 「テレビは真実を言っている」とか思うから、テレビのウソに腹が立つんだよ、きっと。
 「さあ今日はどんなホラを吹いてくれるのかしら」と思えば、テレビは100倍楽しくなる!

 それがテレビのためになるかと言いますと……答えは言うまでもありません。


追伸 私、ずっと「一日一善」のアノCMは、「一日一膳」だと思っていました。「いいことするにはおなかが空くんだなあ」とか。


★(たぶん)10月10日配信の「ヘタでよい、とは魔法の言葉」です。最初からうまくできる人なんていません。数少ない天才の言葉には耳を傾けてはいけませぬ。


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★バーバラ個人的にはこの表紙↑より映画「御法度」のときの表紙が好きです。
posted by バーバラ・アスカ at 14:28 | TrackBack(0) | 評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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